学生に無料サービスをしている「餃子の王将出町店」が10月、閉店する記事を読んだ元同僚ガクサンから連絡をもらいました。

未来食堂の先駆けだったあのお店の記事に多田ちゃんがつけた見出し、『ああ満腹、さあ皿洗おう』だったっけ? 敏腕新聞編集者のI氏が「俺にはつかない」と脱帽したよね。当時ポンコツ編集者だった自分には、I氏がなぜ絶賛したのかさえよく分からなかった。今なら素晴らしさがよく分かります。ウソつきアジア珍道中、懐かしいっすねえ。また行きましょう!
うわぁー。すっかり忘れていましたが、すぐに思い出しました。
「あぁ満腹さぁ皿洗お」「京の中華料理店 ご飯代ない学生さんへ」「感謝込め食後30分」「何でもええ 打ち込んでや 店主・井上さん」「20年前から『食の心配させん』」。(2001年5月18日、朝日新聞大阪本社夕刊4版第1社会面)
「出町の王将」のことをよく覚えているのは京都在住となる前、新聞編集者のころかかわったからだと気付きました。
それにしても19年前の記事の見出しを覚えているガクサンがすごい。
ベタぼめしてくれていて恥ずかしく、いえいえ、そんな…と謙そんしたくなりますが、考えを改めました。せっかく評価してくれている相手の言葉を否定し、疑うことになります。いうべきセリフは否定語ではなく「ありがとう」です。「真に受けるチカラ」って大事ですよね。しっかり受け取りパワーに変換、1ミクロンでも世の中に貢献したほうがいいです。
というわけでメーンカット(一番大きい見出し)の「あぁ満腹さぁ皿洗お」もいいのですが(自賛)、サブの「何でもええ 打ち込んでや」がいま見ても好きです。19年前の私も思いを込めてつけました。私も学生時代、貧乏でしたから。もちろん店主の井上さんがおっしゃっているのですが。「学生に食べることの心配なんかさせたらいかん」。学生街・京都スピリットが漂っていいですね。
その一方で「京の中華料理店」との見出しは…ちょっと違う気もします。「王将」は「王将」でしょう。いまでも悩みそうです。
記事では皿洗いをした佛教大や京大生のコメントが登場します。彼らもいま、40代ですね。
餃子のことを考えていたら思い出しました。


インド・ラジャスタン州にあるニムラナ日系工業団地まで車で2時間かけ、日曜日に走りに行っていました。平たんで週末は車も来ないからちょうどよかったのです。
日系企業専用のエリアを大きく一周すると7キロほどになりました。2~3周走り終わるとすぐ近くにある居酒屋「くふ楽」で羽根つき餃子を頼んだものです。出来栄えにムラがあるので常連だった仲間が「きょうのはよくない」とか指導していました。
パリの中華街ベルヴィルにある「阿國餃子館」もなつかしいです。福岡は老舗「餃子李」が行きつけでした。李さんはいつも一人でした。
大阪では3のつく日に餃子が安くなる(いまはやってないかな)「珉珉」、ロシア・サンクトペテルブルクで食べたシベリア餃子ペリメニ(サワークリームをのせる)…。


だれかと一緒もよしひとりもよし、どんな場所でも何人たりとも、どんな具材でも受け入れて包み込む。餃子ってすばらしく寛容でフレキシブルな食べ物ですね。


[…] 「餃子の王将出町店」の話を思い出したのでギョーザにしました。久しぶりにモランボンの皮を買いました。レシピは拙著「世界のおやつ旅」より。ただしエビなし…。 […]