食モノ語り

私たちのお弁当100 | #01 北海道・立川美穂さん

私たちのお弁当
Photo by Miho Tachikawa

お弁当を語るリレー連載「私たちのお弁当100」をはじめます。作り手・語り手は北海道の立川美穂さん、インドのマルホトラ泰子さん、シンガポールの鈴木祥子さん、イランの「さくらパパ」さん、そして私(多田)の5人です。お一人ずつ1週間(5回)のお弁当を4週分、交替で語っていただきます。紹介したお弁当100個をベースに40個を再現、作りやすいレシピをシェアします。

私たちのお弁当Photo by Miho Tachikawa

「なんてことない」深みと味わい

1回目は北海道の立川美穂さんです。幼稚園の先生から子育て支援にかかわり現在、十勝地方の芽室町議を務めています。会社員の夫、社会人4年生の娘、高3男子のお弁当をほぼ毎日、作っています。

彼女とのご縁は9年前からです。私(多田)が寄稿していたレシピ冊子を読んでメールをくださったのがきっかけです。

Chikako
Chikako
美穂さんのお弁当はシンプルで味わいがあって、てらいがなくてザ・北海道で(私の中では)、お手本です。いつもユーモアがあるのも好きです。チクワづかい名人でもあります。
Miho
Miho
熱意のこもっていない(笑)なんてことないお弁当、うれし恥ずかしです!

最近1週間のお弁当を紹介します。

#001 チキンフライ弁当


チキンカツ弁当です。卵焼きがふっくら、大きくておいしそうです。いまは卵4個で作っています。「卵は新婚のころは2個、子どもが増えて3個、子どもが大きくなったのと卵焼きをメインに添えるようになってからは4個です」。

美穂さん自身は「甘い甘い卵焼き」が好きなのですが「今は夫の口に合わせて」甘くないのだとか。白だしを「2プッシュぐらい」で味付けしています。

卵焼きの卵の数がホームドラマみたいでじんとしました。子どもたちが巣立つとまた3個、2個と減って…なんて(勝手にスミマセン)。

切れ目を入れないウインナーは料理家・高山なおみさんの本からです。切れ目なしのほうがパリッとするとあったそうです。

キャロット・ラペはにんじんをスライサーでカットしたてから軽く塩をして、毎年作っている梅酢ジュース(梅とりんご酢と氷砂糖)をたらりと。オリーブオイル少々も。梅酢ジュースを味付けに!いたみ止めにもなりそうで、よいアイデアですね。

もう一品はさつまいもの切り昆布煮です。きび砂糖とみりんで先に煮てから切り昆布を入れ、仕上げにおしょうゆをたらり、です。

さつまいものお弁当おかずといえば「レモン煮」が定番です。「おかずと果物の取り合わせが私にはどうも」と美穂さんは言います。私も近ごろ「レモン煮のレモン抜き(!)」が多くなりました。いらんやろ、と。

切り昆布というのが北海道らしい気がします。

#002 すり身の揚げシュウマイ弁当

エビフライエビ入り揚げシュウマイです。お鍋用「エビ入りすり身」をギョーザの皮で包んで油にポイ、だそうです。「ネギを混ぜてフライパンで焼いたり、皮で包んで揚げたりも好き」なのだとか。フライパンで「魚バーグ」のように焼いてはいましたが皮包み!その手もあったか。マネしよう。

梅酢ジュースといい、食材を自由な発想で使える人って料理上手だなと思います。

ホウレンソウのごま和えは網走産のビートオリゴ糖シロップ「天才ビートくん」としょうゆをたらり、だそう。「素揚げのサツマイモにからめたら即席の大学イモにも」。おいしそうです。

ちくわは開腹して(!)青じそとチーズを入れてあるそうです。美穂さんの手にかかると「なんてことない」ちくわがユーモラスです。マネしよう。

#003 ロコモコ弁当

ハンバーグに目玉焼きのロコモコ弁当です。

「生野菜は入れたくないけど今日は水耕栽培のフリルレタス入り」というように、いつも衛生面に気を配っています。

「家族の2人が食品関係なので、万が一のことがあると恥ずかしい(美穂さん自身が)」からだそうです。ミニトマトも必要ないと言われちゃうのだとか。

ハンバーグは市販品です。買ったばかりのホームベーカリーを稼働させたら焼き上がりが午後7時過ぎと判明、いったん動き出したら調理台から外せず、で夕食のしたくができなくなりました。好きなものを買ってきて、と「男子チーム」に頼んだらハンバーグだったそうです。

食べ切れず翌日のお弁当にも、となりました。

#004 フランクフルト2枚おろし弁当

「きょうは見事に茶色と黄色弁」と言いますが、でもおいしそうです。フランクフルト2枚おろし、私は美穂さんのお弁当から学びました。

全身かと思ったら半身、あーやられたという食べ手の顔が浮かんでニンマリしそうです。あまり登場させるチャンスがありませんが。

揚げの煮物は「甘味強めだけどおいなりさんよりは薄味」です。ひとり暮らしのころお母さんが実家から持たせてくれたそうです。いまはお嬢さんが好きなので時折、作ります。

美穂さん自身も思い出があります。田辺聖子さんの小説「愛の幻滅」にあった<高野豆腐のような汁けの多い、煮含めたものが弁当にあるとおいしい>とのくだりが時折、頭をよぎって「汁け」を入れたくなるそうです。

こうしたエピソードが料理のうまみ、深みになると心から思います。

話がそれますが田辺聖子さんの小説は私も好きでした。いつもおいしそうでした。「苺をつぶしながら」とか。ミルクの海でイチゴをつぶすたびに思い出します。

オムレツは生ホウレンソウをざく切りにしてマッシュルーム、ベーコンと軽く炒めます。量が減ったら塩コショウをして、卵4個にシュレッドチーズを混ぜて、弱めの中火で蓋をして周りが固まるまでほったらかします。

表面の水分が「大丈夫」なくらい(これも、よく分かる表現)になったらヒザを使ってヒョイと裏返します。「ヒザが大事です!」と2回、繰り返してくれました。浮かせる感じですね。

#005 はちみつから揚げ弁当

メーンははちみつ入りから揚げです。鶏もも2枚にハチミツ小さじ1ほど加えます。「絶対入れた方がよいです!」。やわらかくなるそうです。この言葉に再現決定です。

大学いもは「天才ビートくん」としょうゆと黒ごま入りです。

ブロッコリーは塩ゆでして、下にマヨネーズを忍ばせています。私もケチャップやマヨネーズは内臓します。

なるとチクワは「ミホベン」のシグニチャーです。(ご本人は「チクワのグルグル」と呼んでいますが)。マネした私もすっかり定番になっています。今回は大葉入りです。

再現レシピは「はちみつ入り鶏から揚げ」は決定です。「油揚げの煮もの」「ロコモコ」「フランク2枚おろし」「大葉ちくわ」「すりみシュウマイ」「さつまいもの切り昆布煮」も作ってみたいです。味のあるレシピとストーリーに毎日、心ほかほかになりました。

Author
Chikako Tada
食メディア「Pen & Spoon」編集長。元・朝日新聞記者。ル・コルドン・ブルー・パリ校製菓ディプロム取得。パリⅢ大学で仏語を学ぶ。TOEIC895点。辻調製パン技術講座(通信制)修了。フランス・スイス・NZ・インド・タイ・香港で食セミナー/指導。
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