お弁当を語るリレー連載「私たちのお弁当100」2回目です。作り手・語り手はシンガポールの鈴木祥子さんです。
連載に登場していただくのは祥子さんのほか北海道の立川美穂さん、インドのマルホトラ泰子さん、イランの「さくらパパ」さん、そして私(多田)の5人です。紹介したお弁当をベースに35個を再現、作りやすいレシピをシェアします。

アメリカ・カナダ・シンガポール滞在30年
シンガポール在住の鈴木祥子さんは20代のころ留学で渡米して以来、アメリカ・カナダで30年近く過ごしました。日系アメリカ人であるパートナーの転勤に伴ってシンガポールに引っ越したのは2020年8月です。
私と祥子さんのご縁は16年前からです。朝日新聞を辞めてパリに製菓留学したころ毎週、ネットで書いていたコラムを読んでくださったのがきっかけでした。帰国して開いた京都の長屋アトリエに来てくださったこともあります。
祥子さんのキッチンワークといったらすごい。和菓子の練り切りからおせちにパスタ打ちにメキシカン、世界の料理なんでもござれです。お弁当を作ったらどうなるかな?と登場をお願いしました。
実はお弁当は苦手なのよ…。料理への関心は5歳ぐらいからありました。子ども用の電熱レンジのオモチャでホットケーキを焼いていました。
頼んで作ってもらった最近1週間のお弁当を紹介します。100円ショップで買ったお重が大活躍です。
#01 鶏きじ焼き弁当

お重に入っているのは鶏きじ焼き、アスパラガスごま和え、ゴボウのきんぴら、インゲン、里芋の梅煮です。お花はガイラン(中華野菜)だそうです。
「きじ焼き」は野鳥の「きじ」のおいしさを他の食材で再現したことから名づけられました。
「きじ焼き弁当はシシトウとお漬け物くらいが見栄え的には美しいかな」。アメリカ・カナダ時代はバーベキューの人気メニューだったそうです。
お好みでカイエンヌペッパーか七味をふって「Yakitori丼としてもよいかも」と話します。確かにそうですね。みりんがなければ砂糖かハチミツ、メープルシロップで甘みをつけます。メープル、というのが北米らしいです。
サトイモは皮を厚めにむいて、だし、梅干し(タネでもOKだそう)、薄口しょうゆと塩、みりんを入れて弱火で柔らかく煮るのだとか。梅干しのタネの有効活用、やってみようと思います。防腐効果もありそうです。
#02 鴨ネギそば弁当

ざるそば、年中暑いシンガポールらしいです。そばはシンガポールのドンキで手に入れたそうです。ニューヨークやカナダだと食品スーパー・ホールフーズでも「SOBA」は売られています。鴨とネギ、大根、卵、インゲンは地元のスーパーからです。
大根はトロントのスーパーでも手に入りやすくなりました。白ネギは日系スーパーに行かないとないですね。シンガポールは普通のスーパーでも並んでいます。
#03 鮭の塩焼き弁当

鮭の塩焼き、菜飯、ショウガとカブぬか漬け、酢ばす、ゆで卵などです。お漬け物があると落ち着きますね。ぬか床は私も一時、やっていましたが長続きしませんでした。
ぬか床は1970年代に渡米した日本の方から2003年ぐらいに30年ものを分けていただいて、それから使っています。
ぬか床は米シカゴから始まりニューヨーク、ソルトレークシティ、トロントと北米をめぐり、シンガポールにたどりつきました。引っ越しの際は水けを少し抜き、ぬかと塩を多めに足してスーツケースに入れているそうです。
#04 鮭みそ漬けグリル膳

雑穀入りごはん、みそ漬けにした鮭のグリル、大根おろし、ニンジンのレモンサラダ、サトイモの煮付けです。
アメリカ・カナダでは生鮭しかありません。日本だと塩鮭が簡単に手に入ります。私なぞ脊髄反射で焼くだけですが、祥子さんは自分で塩をするほか塩こうじ、みそ漬け、照り焼きなどにするそうです。
#05 節句ちらしずし弁当

ちらし寿司です。干しシイタケ、にんじん、湯通しして米酢をふったちりめん、油抜きしてからあぶってしょうゆを振った油揚げ、煮含めたタケノコの千切り、三つ葉の茎のみじん切り入りだそうです。手間がかかりますね。気が遠くなります。
40代前半、和食とか和の風習とかにこだわった時期があって、かなり無理な料理もやっていました。だしもカツオブシをかくとこるからやっていて。そのあと憑きものがとれて今はテキトーです(笑)
再現レシピは「Yakitori丼」にします。野菜を梅干しのタネで煮る、というのにもひかれるのでやってみます。ざるそば弁当は夏によさそう!コンビニのざるそばみたいに<ほぐれ水>を付けるか…。考えてみたいと思います。