さらさら昔カレーのレシピ | インド帰りがルーから作る

インド帰りの日式カレー
テクスチャーはさらさらインド風、お味は昔ながらの日本風です。よい香りがキッチンに満ちますよ。
インド帰りの日式カレー

カレーライスのレシピを紹介します。市販のルーは使わない昔ながらのカレーです。でもテクスチャーはさらっとしたインド風、味わいは日本風です。「日式」という言い方はアジア風で、むしろ無国籍な感じがして気に入っています。ぜひお楽しみくださいませ。

目次

インドは「ほぼ365日カレー」

インドの首都ニューデリー郊外で7年、暮らしました。50℃近くも経験しました。空気が毛布のようで、エアコンの室外機の前にずっと立っている感じです。でも湿度はないので木陰に入るとホッとしました。日本の夏は「暑い」と書いて「蒸す」と読ませたいですね。

カレーの国の学校やオフィスでのランチ事情を今回、ご紹介します。どこで食べてもカレーだけはハズレがなかったです。

「インドの人ってやっぱりカレー、毎日食べているんですか」。一時帰国するとよく聞かれました。そうですね、と答えると「へえええ」と言われました。「カレー味」というのが手っ取り早いのですが、スパイスの効いたおかず、といった感じでしょうか。

彼らにとって「カレー味」は私たちのしょうゆ味、いやそれ以上です。飲み物にもスパイス(マサラチャイ)、スイカにもスパイスをかけますから。

おまけに日本よりもずっと食に対しても宗教や家族のルールが強いです。もちろん人や地方によってずいぶん違いますが、何でも自由に食べましょう、おいしければいいじゃない、という感じではありません。

インドの学校のカレー:菜食だけ、1歳からでもスパイス味

Photo by Chikako TADA

インドの学校はたいてい菜食(ベジ=ベジタリアン)です。ベジタリアンが多い国ですからベジなら全員が食べられるというわけです。

インドに1歳で連れて行った子はすぐプレスクール(幼稚園&保育園)に入れました。東京では文字通り100人待ちの待機児童だったのが、住み始めて2週間足らずで通うように。話が早くて本当に助かりました。

近くのオフィス街で働く親の子が来るような地元のスクールです。ぐるぐる回るスロープが気に入って決めました。いつのまにか学校はなくなってしまいましたが、お世話になったマム(=先生)はいまもSNSでつながっています。

給食室は最上階にありました。

インドのプレスクール
2年お世話になったプレスクール。Photo by Chikako TADA

毎日、野菜カレーだったプレスクール

2年通ったプレスクールの給食もベジでした。毎日、野菜カレーです。卵も使いません。
栄養バランスは?なんて思いますが、タンパク質は豆からですね。

インドのチーズ・パニールのカレーも、みそ汁のように毎回出る豆のスープ・ダルもやさしい味わいでした。インドではカレーの具はたいてい1種類、せいぜい2種類です。

パニールカレー
カッテージチーズ(パニール)のカレー。photo by Chikako TADA

プレスクールでは午前10時半からランチの準備をしていました。
玉ねぎとトマトを刻む包丁の音が響きます。インドに作り置きという発想はありません。冷蔵庫が普及していないせいもありますが、前もって準備しません。

料理に限りません。仕事でも何でもいきなりやる。日本人からするとちょっとは前もって準備したり打ち合わせしたり、すり合わせしたりしたらどうなのよ…と思いますが。即興と帳尻合わせの天才です。

というわけでいつも玉ねぎの皮むきからスタートです。ある日の献立表によれば…。

10:30 *スナックブレッドロール
13:00 *昼食アルー・プーリー(ジャガイモカレーと揚げパン)、ご飯、サラダ、キール(牛乳がゆ)
15:30 *スナックマサラ・イドリ(南インド風の蒸しパンにスパイス)
17:00 *スナックバナナマフィン

スナックタイムが1日3回もありました。勤務した職場のティータイムも午前中1回、午後に1回でした。幼少時からの習慣ですね。

ランチのアルー・プーリーはジャガイモ(アルー)カレーの揚げパン添えです。子どもが一番、好きなカレーでしょう。私も一番、好きです。日本ではあまり見かけないのが不思議です。

アル・プリ
プレスクールのアルー・プーリー Photo by Chikako TADA

子ども向けとはいえコリアンダーの香りが効いていました。

プーリーは全粒粉のパン「チャパティ」を揚げたものです。油を回しかけるとプーッとカルメ焼きのようにふくらんで、思わず拍手です。

揚げたてのプーリーは最高
揚げたてのプーリーは最高! Photo by Chikako TADA

アツアツをほおばります。「バリアーヘィ(すばらしい)」。ヒンディー語で言うとシェフのロッキーさんはにっこり笑いました。

「子どもは消化する力が弱いから、シンプルな材料でシンプルに作ります」。とはいえいつもスパイスを10種類は使っていました。もちろんカレールーなんて使いません。粉から、場合によっては実を粉に挽くところから作り始めます。

通っていた本人(当時1歳~3歳)も「学校のランチおいしい」と言っていました。とりわけチャパティが好きで、うちでもこのころよく作っていました。

インター校はカフェテリアでノンベジも

豚児は4歳から4年、ニューデリーにあるザ・ブリティッシュ・スクールに通いました。
幼稚園から高校まで、66カ国から1200人の生徒が集まるインターナショナルスクールです。

お弁当でもOKですがカフェテリアもあり、1食210ルピー(300円)でした。オーガニック素材にこだわっていたため、物価からするとまぁまぁなお値段でした。後述する会社の社食は40ルピーとかだったし。基本的にお弁当を持たせていましたが時々、利用していました。

カレーだけでなくピッツァなどもあり、ノンベジ(菜食以外)もありました。とはいえ鶏肉ぐらいだったようです。ビュフェ方式です。「フレンチフライやチキンナゲットばかり盛っていたら先生に注意される」と言っていました。

オフィスのカレー:社食は80円がスタンダード

インドでは3社で働きました。

1社目、3社目は「カフェテリア」はありましたが単に飲食スペースでした。うちから持ってきたカレーを食べる人が大半です。弁当箱は鉄の3段重ねとか、ガラス容器とか。とにかく重そうでした。仲良し同士でシェアして食べる人も多かったです。

ビル共通の「シェア社食」があり、そこで注文する人もいました。お昼ごろになるとティーボーイ(お茶をくんだり片づけたりする人)が注文をとり、受け取りもしてくれます。ランチタイムは午後1時半ぐらいに始まります。遅いです。

インドの主食チャパティー
北インドの主食チャパティー

チャパティー(全粒粉の薄いパン)が主食で、ライスもありました。おかず2品(オクラ炒めとカリフラワーカレーなど)で1食40ルピー(60円)ほどでした。

カフェテリアにはカレーをあたためるための電子レンジは必需品です。コンビニのレジ隣にあるようなホットスナック用のケースもありました。

2社目はちゃんとした「社食」

2社目はインドの会社で社員が1,000人以上というオフィスだったため、自前の社食でちゃんと食事を出していました。
ビュフェ方式でベジもノンベジもありました。トレーを持って自分で配膳します。フツーにおいしかったです。たしかベジが40ルピー(60円)、ノンベジが50ルピー(80円)ぐらいでした。同僚たちはチャパティを5~6枚も取っていてたまげました(1、2枚で十分…)。

チャパティー
チャパティーも毎回粉から Photo by Chikako TADA

インド帰りの日式カレーのレシピ

インドから戻ると日本のカレーは口当たりがヘビーに思えます。日本に戻って3カ月、「しゃびしゃびカレー」ばかり作っています。インドのカレーはヘビーな印象ですが、それはレストランだけ。毎日食べるカレーはさらっとしています。ご紹介するレシピは日本とインドのいいとこどり、日印カレーのハイブリッド(!)ですね。

市販のルウは使わずカレー粉から。具はポークが多いです。インドでは豚肉が手に入りづらく(イスラム教徒も多いので)鶏肉ばかりだったので。

粉からつくる理由は3つあります。1つはインドで「こくまろ」などの市販のルウを食べ続けたから。本帰国する友人たちから何度ももらい、毎週のように作っていました。カレーの国にいたって日本カレーは別もの、持ってきている人も多いのです。

2つ目はインドから続くミニマム暮らしでルウの箱を置くスペースがもったいないから。粉ならカレー以外にも調味料として使えます。カレー粉を炒めるこおばしい香りから楽しんでくださいね。

インド帰りの日式カレー

さらさら昔カレー

テクスチャーはさらさらインド風、お味は昔ながらの日本風です。よい香りがキッチンに満ちますよ。
準備 | Prep: 30 minutes
調理 | Cook: 30 minutes
合計 | Total: 1 hour
ごはんもの・メーンおかず
インドふう
定番の和食
夏はコレ
いつでも
原材料:
ピーナッツフリー
乳製品不使用
制作: Chikako TADA

道具

分量 : 4 人分
材料   
  • 豚肉 - 鶏肉やエビでも 300 g
  • - 肉の2~3%、小さじ1 / 6 g
  • 玉ねぎ - 中サイズ2個 / 400 g
  • じゃがいも - 中サイズ3個 / 300 g
  • にんじん - 中サイズ2本/ 150 g
  • にんにく - 2かけ / 10 g
  • しょうが - 小さじ2 / 10 g
  • サラダ油 - 大さじ2 / 30 ml

カレールウ

仕上げ

作り方

具の下ごしらえ

  • 豚肉300gに塩をすりこみます。なじませるため30分ほどおきましょう。塊なら一口大に切ります。
    日式カレーの材料
  • にんにく・しょうが各10gはすりおろすかみじん切りにします。チューブなら4cmずつぐらいです。
    しょうがとニンニク
  • にんじん150g・じゃがいも300gは皮をむいて乱切りにします。
    ニンジン乱切り
  • 玉ねぎ400gは1㎝幅ぐらいの薄切りにします。
    玉ねぎ薄切り
  • 熱したフライパンにサラダ油大さじ1を敷き、玉ねぎを薄いアメ色になるまで弱火で15分ほど炒めます。途中で水大さじ1をふるとスピードアップします。
    あめ色玉ねぎ

ルウをつくる

  • 鍋かフライパンを弱火にかけ、バター大さじ3を溶かします。
    バターを溶かす
  • 溶けたら小麦粉大さじ4を加えます。
    小麦粉を加える
  • 弱火で10分炒めます。へらでよく混ぜます。最初はもったりしています。
  • 5分ほど炒めるとのびてきます。もうあと5分、もうひと頑張りです!
  • さらっと液体状になればOKです。粉っぽさが飛び、こおばしい香りがします。
    10分ほど炒めたらOK
  • カレー粉大さじ2を入れてよく混ぜます。
    カレー粉を加える
  • ペースト状になれば火を止めます。
    カレールウのできあがり

煮込む

  • 鍋にサラダ油大さじ1を入れて熱し、にんにく・しょうがを炒めます。
    にんにくしょうが
  • いい香りが立てば肉を入れて色が変わるまで炒めます。
    肉を炒める
  • にんじん、じゃがいもを加えて炒めます。
    にんじん・じゃがいも
  • 炒めた玉ねぎ、塩小さじ½も加えて水800mlを注ぎます。700mlぐらいだと純・日本風カレーです。
    水を注ぐ
  • ケチャップ大さじ2、固形スープの素1個とローリエ1枚を加えます。10分ほど煮込みます。アクはとらなくてもOKです。
    ケチャップとローリエ
  • ローリエを取り出してからルーを加えて混ぜます。また15分ほど煮込みます。
    ルーを加える
  • できあがりです!ごはんをよそって召し上がれ。ときにはピーマン肉詰めカレーもいいですね。
    ピーマン肉詰めカレー

Video

Notes

  • あめ色玉ねぎは時間があるときにまとめて作っても。お料理にいろいろ使えます。冷凍もできます。
  • ルウも冷凍できます。冷凍したまま熱い鍋に入れて溶かします。
  • 小麦粉は薄力・中力・強力、何でもかまいません。
  • インド育ち以外のお子さまには少し辛いかも。はちみつや砂糖を足してくださいね。
さあ、作りましょう!#ペンとスプーンのハッシュタグをつけてご自身のFacebook, Instagram, Twitterに投稿してくださいね。
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この記事の著者

多田 千香子のアバター 多田 千香子 Pen&Co.代表取締役CEO

食メディア「Pen & Spoon」編集長。1970年、岡山県備前市生まれ。県立岡山朝日高校、岡山大学法学部卒。1993年、朝日新聞社入社。記者・編集者として12年余り勤務。2005-2007年、フランス・パリ在住。料理学校ル・コルドンブルー パリ校製菓上級課程修了。「パリのおやつ旅のおやつ」(朝日新聞出版)「パリの小さなキッチン」(レイチェル・クー著、翔泳社)など著書・翻訳書8冊を出版。辻調製パン技術講座(通信制)修了。2013-2020年、インド・グルガオン在住。インド三井物産などで勤務。コロナ禍で2020年に帰国後、食メディア「Pen & Spoon」を創刊。2023年6月、Pen&Co.(ペンアンド)株式会社を共同創業。週刊英和新聞Asahi Weekly(英文)でコラム連載。

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