豚まんのレシピ|強力粉とイーストの皮、もっちりジューシー

自家製豚まん
あつあつジューシー、たまらないおいしさです。あんは餃子とほぼ同じです。
自家製豚まん

豚まんのレシピを紹介します。強力粉とイーストでつくる皮も中身(あん)も、指さえあれば作れます。日本ならコンビニでも買える豚まん(肉まん)ですが、手作りのおいしさといったらたまりません。蒸し器から立ちのぼる湯気やフタを開けた瞬間の香り…。プロセスが楽しい五感が喜ぶアクティビティです。

目次

神戸の「豚饅頭」がルーツ、大阪で「豚まん」に

「豚まん」は関西から西の呼び方です。神戸で人気の「老祥記」が中国の包子(パオツー)を「豚饅頭(ぶたまんじゅう)」と名付けて1915年(大正4年)、売り出したのが「豚まん」のルーツです。

551蓬莱のサイトにも「神戸のものは小ぶりで小籠包に近かったが、蓬莱では日本人好みの味つけで、やや大きめに仕上げることで大阪人の嗜好を意識」したとあります。確かに老祥記のは小ぶりです。

「豚まん」と呼ぶのは関西で「肉」といえば牛肉をさすので区別するためとされています。

岡山の名物は「山珍」の豚まん:うずら卵と角煮入り

岡山出身で大阪と京都に通算10年住んだ「西のほうの人間」である私も「豚まん」になじみがあります。

豚まん偏愛は高校時代からです。岡山の老舗「山珍(さんちん)」が通学途中にあり、帰りによく買っていました。

好きすぎてタウン情報誌に投稿するペンネームを「山珍の豚まん命」にしていました。岡山を出てからも帰省のたびに求めていました。サイコロ大の豚の角煮とうずら卵が入っているのが特徴で、食べごたえがあります。

うずら卵を落っことさないようまずは皮を触診(!)して卵のありかを確かめ、パカッと2つに割ります。割った口に豚のかたちをしたタレをぽとぽと、しみこませて食べるのが至福です。

豚まん弁当

Photo by Chikako TADA

もちろん551も大好きです。インド在住時代は通販で注文してホテル日航成田まで届けてもらい、スーツケースで運んでいました。日持ちしないので冷凍していましたが、それでもおいしかったですね。お弁当にも入れました。

皮の実験:強力粉か薄力粉か、イーストだけかベーキングパウダーも入れるか

そもそも中華アレンジに端を発した日本の「肉まん」「豚まん」なので、皮もいろいろです。

中華料理の包子(パオズ)や饅頭(マントウ)は薄力粉が基本です。膨張剤はイーストとベーキングパウダーの両方とも入れるレシピが多いです。

私が北京で習ったのも「薄力粉+ベーキングパウダー+イースト」でした。あとは砂糖と塩、水分は水だったり牛乳だったり、油脂としてラードやゴマ油が入ったり入らなかったり。

北京出身の料理家ウー・ウェン先生のレシピは「薄力粉+イースト」です。

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少しでもパン作りをする人なら「あれ?」と戸惑いませんか。パンは強力粉が定番のはずなのに、薄力粉ベースにイーストもベーキングパウダーも入れるなんて、と。

粉と膨張剤を替えて実験しました。4パターンとも砂糖は7g、水は30gです。

1薄力粉50g・ベーキングパウダー(BP)1.5g・イースト1.5g

2薄力粉50g・イースト1.5g

3強力粉50g・ベーキングパウダー(BP)1.5g・イースト1.5g

4強力粉50g・イースト1.5g

1.すべて混ぜてこねる:薄力粉はベタベタ

発酵前

Photo by Chikako TADA

同じ粉といっても一度に作ると違いがはっきり分かります。薄力粉はグルテンが少なくて水分を吸収しないためベタつきます。強力粉はちょうどいい感じです。

[pns_speech_balloon type=”r” name=”Chikako” image=”https://pen-and-spoon.com/wp-content/uploads/2020/08/IMG_0893.jpg”]レシピに強力粉とあるけれど薄力粉しかない!という場合は水分を15%ほど減らしましょう薄力粉のレシピなら逆に水分を15%ほど増やすといいですね。 [/pns_speech_balloon]

2.一次発酵後の状態

1次発酵後

Photo by Chikako TADA

上の写真は1時間ほど置いて一次発酵させたあとの状態です。薄力粉のほうは頼りない感じですね。一時発酵を終えたら手で押さえてガスを抜き、丸めて15分ほど休ませます(ベンチタイム)。

3.二次発酵後の状態:薄力粉は成形が大変

2次発酵

Photo by Chikako TADA

豚まんにする場合はベンチタイムを終えてからあんを包みますが、実験では2つにカットしてオーブンシートにのせ、30分ほど二次発酵させました。薄力粉のほうはべたつくので形作るのが大変そうです。

4.蒸したての状態:薄力粉はまんまるに

蒸したて

Photo by Chikako TADA

薄力粉・ベーキングパウダー・イーストは少し割れ目が入って、「肉まん」らしい風合いになりました。強力粉のほうは切り口がくっきり残っています。ハフハフ、あつあつを試食しました。

5.試食した結論:イーストだけでOK

断面

Photo by Chikako TADA

1薄力粉+BP+イースト:「ハフッ」「フカッ」としています。軽いかみごたえです。冷めたら少しパサつきます。日本の「肉まん」らしい気がしました。

2薄力粉+イースト1よりは引きがあります。かみごたえも軽さもあります。

3強力粉+BP+イースト:薄力粉に比べ、ずいぶんもっちり感が出ます。それでも4に比べたらふわっとした感じです。

4強力粉+イースト:引っ張ると伸びがあります。いちばん引きが強くて食べごたえがあります。冷めてもしっとりしておいしくいただけます。

レシピにしたのは「強力粉+イースト」です。味に加えて作りやすさも考えてイーストだけにしました。ぜひ作ってみてくださいね。

ジューシー豚まんのレシピ:アツアツが最高!

自家製豚まん

自家製ジューシー豚まん | 皮は強力粉とドライイーストで

あつあつジューシー、たまらないおいしさです。あんは餃子とほぼ同じです。
調理 | Cook: 1 hour
寝かせ | Resting Time: 1 hour
合計 | Total: 2 hours
簡単おやつ
カンタン中華
冬いいね
原材料:
ピーナッツフリー
卵不使用
制作: Chikako TADA

道具

分量 : 6 個(直径8㎝)
材料   

あん

  • 白ねぎ - 1本(100g)
  • むきエビ - 50g
  • 豚ひき肉 - 120g
  • - 小さじ½
  • しょうゆ - 小さじ1
  • - 大さじ4

作り方

  • 強力粉150gにドライイースト3gを混ぜます。
    粉にイースト
  • グラニュー糖20gも加えてざっと混ぜます。
    砂糖
  • 人肌ぐらいのお湯90mlを加えます。
    水を注ぐ
  • 粉けがなくなるまで両手で混ぜます。
    こねる
  • 台に出して100回ぐらい引っ張ったりたたきつけたりしてこねます。ひとまとまりにします。
    ひとまとまりになったら
  • 一次発酵させます。あたたかいところに1時間ぐらい置きます。2倍ぐらいにふくらめばOKです。
    発酵
  • あんを作ります。白ねぎ1本はみじん切りにします。
    ねぎ
  • まず縦に切り込みを2~3本入れます。
    縦に切る
  • 端からざく切りにします。
    ざく切り
  • 豚ひき肉120gをボウルに入れます。エビ50gも加えます。
    肉にエビ
  • みじん切りにしたねぎと水大さじ4を加えます。
    水
  • しょうゆ小さじ1と塩小さじ½も加えます。
    しょうゆ
  • 粘りが出るまで手で100回ぐらいこねます。冷蔵庫に30分ほど入れて引き締めます。
    手でこねる
  • ふくらんだ生地をやさしく押さえてガスを抜きます。包丁で6つに切ります。
    カット
  • 手で簡単にまるめます。1個あたり40gぐらいです。
    まるめる
  • 濡らした布をかけて10分ほど休ませます。
    ベンチタイム
  • めん棒でのばすか指で引っ張って手のひら大にします。
    のばす
  • 6等分したあんをのせます。
    あんをのせる
  • 生地を両手でつまんで包みます。
    包む
  • 真ん中に寄せてギュッと絞ります。
    よせる
  • オーブンシートにのせて蒸し器に並べます。濡れた布をかぶせて15分ほど2次発酵させます。お湯をたっぷり沸かし始めます。
    2次発酵
  • 蒸気の立った蒸し器にのせて15分ほど蒸します。
    蒸し上がり
  • あつあつをどうぞ。酢じょうゆを添えてもいいですね。
    あつあつをどうぞ

Video

Notes

  • 少し軽さを出して「ハフッ」「フカッ」とさせたい、ベーキングパウダーがあるので使いたいという方はイーストと同量のベーキングパウダーを入れてもかまいません。
  • 薄力粉で作る場合は水の量を15%ほど減らします。薄力粉と水の割合が2:1です。
  • あんは玉ねぎ、干しシイタケ、甘栗など、お好みのものを試してみてくださいね。
さあ、作りましょう!#ペンとスプーンのハッシュタグをつけてご自身のFacebook, Instagram, Twitterに投稿してくださいね。
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この記事の著者

多田 千香子のアバター 多田 千香子 Pen&Co.代表取締役CEO

食メディア「Pen & Spoon」編集長。1970年、岡山県備前市生まれ。県立岡山朝日高校、岡山大学法学部卒。1993年、朝日新聞社入社。記者・編集者として12年余り勤務。2005-2007年、フランス・パリ在住。料理学校ル・コルドンブルー パリ校製菓上級課程修了。「パリのおやつ旅のおやつ」(朝日新聞出版)「パリの小さなキッチン」(レイチェル・クー著、翔泳社)など著書・翻訳書8冊を出版。辻調製パン技術講座(通信制)修了。2013-2020年、インド・グルガオン在住。インド三井物産などで勤務。コロナ禍で2020年に帰国後、食メディア「Pen & Spoon」を創刊。2023年6月、Pen&Co.(ペンアンド)株式会社を共同創業。週刊英和新聞Asahi Weekly(英文)、ソーシャル経済メディアNewsPicks +dでコラム連載。

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