クーベルチュール・チョコレートとは製菓用チョコレートです。純度が高いので扱いやすく、トリュフなど作ろうものなら「私って天才」となります。お手ごろに買える板チョコは自主トレ用にして、「ここぞ」ではクーベルチュールにもトライしてみましょう。おすすめ3銘柄を紹介します。
[pns_speech_balloon type=”l” name=”Yasuyo” image=”https://pen-and-spoon.com/wp-content/uploads/2021/01/IMG_5864_profile_thum.jpg”]クーベルチュールと明治のチョコレートって何が違うんや…[/pns_speech_balloon]
[pns_speech_balloon type=”r” name=”Chikako” image=”https://pen-and-spoon.com/wp-content/uploads/2021/07/f4205a7fc8c643dc3b86b8c5b1e653d7.jpg”]クーベルチュールは「純度が高い」「作業性が高い」です。甘さ控えめという意味ではないですよ。[/pns_speech_balloon]
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クーベルチュールとは:フランス語で「毛布」
クーベルチュール(Couverture)はフランス語です。英語でいえばCoverの名詞です。フランス語でCouvertureといえば、辞書に1番に載っている意味は毛布(ブランケット)です。飛行機の中で「クーベルチュールをください(Une couverture s’il vous plaît)」といえば毛布がやってきます(チョコは出てきません)。
クーベルチュール・チョコレートとは:国際規格では3条件
クーベルチュール・チョコレートというのはフランス語と英語の合体(チョコレートは英語)ですね。
食品の国際規格であるコーデックス規格では、クーベルチュール・チョコレートの条件はおもに下記になります。
カカオ分35%以上
カカオバター(カカオ豆の脂肪分)31%以上
カカオマス(無脂カカオ分)2.5%以上
下記が原文と農水省による日本語訳です。
Couverture Chocolate
Couverture Chocolate shall contain, on a dry matter basis, not less than 35% total cocoa solids of which not less than 31% shall be cocoa butter and not less than 2.5% of fat-free cocoa solids.(STANDARD FOR CHOCOLATE AND CHOCOLATE PRODUCTS,Codex)2.1.3 クーベルチュールチョコレート
クーベルチュールチョコレートは、乾物ベースで、総カカオ固形分 35%以上、うちカカオバターを 31%以上、無脂カカオ固形分 2.5%以上を含有するものとする。(https://www.shokuhin-kikaku.info/より)
カカオ分=カカオバター+カカオマス
カカオ分=(「カカオマス」+「カカオバター」)(+その他カカオ由来成分)です。
カカオマスとは発酵させて煎ったカカオ豆のペーストで、砂糖は入っていません。チョコレートの味を決めるもとです。コーヒーと同じように産地や焙煎の仕方、豆の種類で味はさまざまです。
カカオバターとはカカオに含まれる脂肪分の量です。チョコレートの口当たりを決めるもとです。
カカオバターの融点は32~34℃なので、体温(口に含む)で溶けます。このためカカオバターの成分が多いほどなめらかな口あたりになります。
クーベルチュールと板チョコの原材料を比較
日本の代表的な板チョコの原材料をみてみましょう。まずは明治ブラックチョコレートです。「ビターチョコレート」とありますがカカオ分〇%との表示はありません。ロッテ・ガーナブラックチョコレートはパッケージに「カカオ50%」と書いてあります。
砂糖、カカオマス、植物油脂、全粉乳、ココアバター/レシチン、香料(一部に乳成分・大豆を含む)
カカオマス、砂糖、ココアバター、乳糖、植物油脂、全粉乳/乳化剤(大豆由来)、香料
重量に占める割合が大きい順に表示する決まりです。
次に輸入チョコレートの原材料表示をみてみましょう。カカオ分50%と上記の2銘柄に近い仏カカオバリー社の「フォルス・ノワール」という商品です。「クーベルチュール」と思いきや…。
カカオバリー ピストール・フォルス・ノワール / 1kg
日本語での原材料表示は下記です。
カカオマス、砂糖、ココアバター、レシチン(大豆由来)、香料
国産2銘柄の板チョコに含まれている「植物油脂」「全粉乳」(乾燥させた牛乳)はありませんね。でもレシチンと香料は入っているのですね。
カカオバリー社のサイト(英語)で商品表示をみると、
カカオ50%、カカオバター28%、カカオマス(無脂肪カカオ分)21%
とありました。カカオバターが31%未満なのでコーデックス規格の「クーベルチュール」要件を満たしていないと分かりました。実際、クーベルチュールを名乗っていません。
さらに別の製品で調べました。カカオバリー社の「ミ・アメール」です。パリの料理学校で使っていてなじみがあります。カカオ分は58%です。
カカオバリー タブレット ミ・アメール / 1kg
日本語での表示は下記です。
カカオマス、砂糖、ココアバター/乳化剤、香料、(一部に乳成分・大豆を含む)
カカオバリー社のサイト(英語)での商品表示は下記です。
カカオ58%、カカオバター38%、カカオマス(無脂肪カカオ分)19%
3要件とも満たすのでパッケージに「Couverture」とあります。味を決めるカカオマスは「フォルス・ノワール」のほうが21%と少し高いので、チョコらしさを求めるなら「フォルス・ノワール」が向いています。
クーベルチュールはカカオバターの量が31%以上と多く、溶かすとよくのびるため扱いやすいです。プロでなければなおさら腕を補ってくれます。
クーベルチュールおすすめ3選①:ヴァローナ・マンジャリ
パリで製菓を学んだ身としてはやはりフランス産ヴァローナ(Valrhona)がおすすめです。1922年創業、フランスではビストロのデザートメニューなどに「ヴァローナ使用」と誇らしげに書き添えてあります。
もちろんお値段も張ります(国産クーベルチュールの3倍)が、ヴァローナ使用のトリュフやボンボンショコラなら1粒300円超えです。
下記は拙著「パリのチョコレートレシピ帖」で紹介しているトリュフです。チョコ100gと生クリーム、バターで30個は作れます。買えば1万円!もちろん市販のものは宝石箱のようなパッケージも込みなのですが。
cotta ヴァローナ フェーブ マンジャリ 300g
マンジャリは1990年から発売されている定番で、カカオ分64%です。ヴァローナらしい華やかさで、ベリー系の香りがフランスの「ショコラ」らしいです。
セールで2割引き、300gで税込1,706円です。ということは100gで約600円、生クリーム代とあわせても1,000円以内でトリュフ30個が作れます。1個あたりたった30円です。しつこくてすみませんがヴァローナが、です。
箱代よりカカオ分におカネを出したい方にお勧めです。
クーベルチュールおすすめ3選②:カレボー・N° 70-30-38
味わいが日本人向きなベルギー産もおすすめです。使いやすく、味とのバランスがいいと思っています。
カレボー(Callebaut)は1911年創業の老舗です。粒が丸くて小さめなので、手作りする前についついつまんでしまいます!
70/30はカカオ分70%だけあってカカオがしっかり香ります。混じりけのない味わいです。ガトーショコラやムースにするとすごくいいです。
クーベルチュールおすすめ3選③:ヴァローナ・イボワール
ホワイトチョコレートならヴァローナの「イボワール」が最高です。とてもミルキーで、そのまま食べてもひれ伏してしまうおいしさです。味が濃くてついつい…。1キロで買ってもすぐなくなります。
もちろんトリュフに、溶かしてクレープのソースにしてもお勧めです。
クーベルチュール・チョコレート選びに迷ったらぜひ参考にしてくださいね。レシピも紹介してまいります。