栗の渋皮煮を使ったアレンジレシピを紹介します。簡単な「モンブランバーガー」です。ダックワーズをつくって栗クリームをはさみます。拙著「おやつ新報へ、ようこそ。」(2009年)で紹介しました。ダックワーズはパリの料理学校ル・コルドンブルーで何度も作りました。帰国後、京都で開いたアトリエで披露したら「悶絶モンブラン」と呼ばれて好評だった思い出の味です。ぜひつくってみてくださいね。
ダックワーズとは:メレンゲ×アーモンドパウダー
ダックワーズ(Dacquoise)の意味(語源)は、南フランス(ランド地方)にある温泉地「Dax(ダックス、現地語の表記でDacs)の」です。
フランス菓子の世界で「ダックワーズ」といえば、卵白をかたく泡立てたメレンゲに、アーモンドパウダーかヘーゼルナッツパウダーを混ぜて焼いた生地のことです。パリの巨匠ピエール・エルメになるとピスタチオ・パウダー入りもありますね。ぜいたくです。
マカロンと材料はほぼ同じですが、作り方と仕上げ方がちがいます。あとはダックワーズと違い、「ヘーゼルナッツパウダーのマカロン」というのはあまり聞いたことがないですね。
作り方はパリの料理学校ル・コルドン・ブルーで学びました。中級課程のころ、よく作りました。「アントルメ」と呼ばれるホールケーキの生地の多くがダックワーズだったからです。
日本だとふわふわしたスポンジ(ジェノワーズ)と生クリームのケーキが好まれますが、フランス菓子ではダックワーズ生地にムースやバタークリームをはさむようなタイプが主流です。
ふわふわより濃厚で、ネチッとした食感が好まれるせいでしょうか。
ダックワーズ生地は絞り袋に詰めてグルグル、円盤状にして焼きます。セルクル(底のないリング型)に詰めることも。ナイフでならしてシート状にして焼き、ビュッシュドノエルにもしました。老舗パティスリー「ラデュレ」の定番チョコレートケーキ「プレジール(Plaisir)」もヘーゼルナッツのダックワーズ生地です。
日本では小判型に焼き、クリームをはさんだものが有名です。福岡にある洋菓子店「16区」のシェフが考案したことで知られています。「もなか」からヒントを得たという話は有名です。
型も専門店では売っていますが、もちろん型なしで作れます。絞り袋がなくても、スプーンで落とすだけでもOKです。
私は福岡勤務だったころ、「16区」の近くに住んでいました。もちろんダックワーズもタルトも大好きです。福岡の直後にパリに留学したのですが、「パリのダックワーズは大きいな」と思ったのを思い出します。
粉砂糖を2回ふるのは外側をサクッとさせるためですが、なければないでおいしいですよ。
モンブランバーガーのレシピ
材料
栗の渋皮煮
- 栗 500 g
- ベーキングソーダ(重曹) - 小さじ1 / 5 g
- グラニュー糖 (てんさい糖) 200 g
ダックワーズ
- 卵白 - 1.5個分 / 50 g
- グラニュー糖 (てんさい糖) - 大さじ1 / 15 g
- 粉砂糖 35 g
- アーモンドパウダー(プードル) 45 g
- 粉砂糖 - 小さじ2 / 6 g
作り方
栗の渋皮煮をつくる
- 栗はかぶるほどの水を注いで一晩置くか、熱湯をかけて10分ほどおきます。鬼皮がむきやすくなります。500 g 栗
- 包丁を差し込んで鬼皮を外します。
- 指でめくって渋皮だけにします。
- 鍋に栗、かぶるほどの水、重曹を入れます。
- 中火にかけて沸騰させます。10分ほどゆでます。5 g ベーキングソーダ(重曹)
- お湯を捨てて流水でよく洗います。
- きれいな鍋に、栗とかぶるぐらいの水を入れて再びゆでます。10分ほどゆでます。
- 水で洗い流します。
- グラニュー糖とかぶるほどの水を加えて火にかけます。200 g グラニュー糖 (てんさい糖)
- アクが浮いてきたらお玉で除きます。弱火で好みのかたさになるまで煮ます。
ダックワーズをつくる
- ボウルに冷やした卵白を入れて泡立てます。電動ミキサーでなくても大丈夫です。50 g 卵白
- 白っぽくなればグラニュー糖を加えます。15 g グラニュー糖 (てんさい糖)
- ピンとツノが立つぐらいになればOKです。
- 粉砂糖とアーモンドパウダーをふるい入れます。45 g アーモンドパウダー(プードル), 35 g 粉砂糖
- ゴムベラで切り混ぜます。
- 絞り出すための袋として、ファスナー付き袋を外側に開いて手に持ちます。
- ゴムベラで生地を詰めます。
- 口を閉じます。袋の上からカードを滑らせて生地をまとめます。
- 絞り出す口をつくるため、端を1㎝ほど切ります。
- 天板にオーブンシートを敷いて直径5㎝ぐらいに絞り出します。粉砂糖を茶こしに入れて振りかけます。しっとりして消えたらもう1回ふります。6 g 粉砂糖
- 170℃に温めたオーブンに入れます。12分ほど焼きます。ほんのり色づけばOKです。
- カードなどでオーブンシートから外します。
Video
Notes
- 生地を袋に詰めず、スプーンで落とすだけでもOKです。