ホットケーキのレシピを紹介します。ハワイの地元の人たちに愛された「メグズ・ドライブイン」(閉店)で教わりました。牛乳なしで、50年前から変わらないレシピだそうです。いくらでも食べられます。
ホットケーキとパンケーキの違い
ホットケーキは和製英語です。欧米では「パンケーキ」です。2010年代からホイップクリームてんこもりの「エッグスンシングス(Eggs ‘n Things)」がハワイから上陸してブームとなりました。
ホットケーキは分厚くて、パンケーキは小ぶりで薄い印象です。世界一の朝食として知られるオーストラリアの「bills」も2012年、日本にやってきました。リコッタパンケーキもブームになりましたね。
フワフワの「スフレパンケーキ」も登場、ホットケーキとも違う独自の進化をとげています。
イメージとして生クリームがかかると「パンケーキ」になりますね。パンケーキと呼べば200円増し(どころか3000円なんですよね)になっても許される、ような…。
森永のホットケーキミックスの「ケーキシロップ」
森永製菓が日本でホットケーキミックスを売り出したのは1957(昭和32)年です。私も子どものころ、ケーキシロップ(メープルではない)とマーガリン(バターではない)をたっぷりのせて食べるのが楽しみでした。
数十年後に親となり、手に入れたのが「きょうのおやつは」という絵本です。ホットケーキが登場します。本当においしそうで大好きでした(私が)。
「しあげは しろっぷ とろ とろ とろり」。やたら念入りに読み聞かせたものです。
ホットケーキが登場する本といえば村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」です。「ホットケーキのコカコーラがけ」が主人公の友人の好物で、何枚かを重ねて4つに切って、コーラひと瓶(瓶です、瓶)をかけるのです。しゅわしゅわっ、きっとおいしい…のかも。
そう、コーラかどうかは別にして、ホットケーキは「しみこませる」ものです。生クリームはホットケーキの世界観に似合いません。フワフワも求めていません。何でもフワフワにしてほしくないです。
シロップをしっかり受け止めてくれるほうがいいです。ぐるっとシロップを2周半ほど回しかけるのみならず、シロップ余すまじとフォークに刺した1片をお皿に押し付け、ぬぐいながらいただく…。
スフレパンケーキだとつぶれてしまってもったいなくて、そんなことできません。ホットケーキにはメープルでもケーキシロップでもコーラでもいいですが「しみこませるもの」と、あとは有塩バターでキマリです。
ちょっと下品な…といったら失礼ですが、甘じょっぱさがたまりません。
世界のパンケーキ:カナダ
メープルシロップ/メープルシュガーのふるさとを訪ねてカナダ・ケベック州を訪ねました。フランス語のメニューに「クレープ」とあったので薄いクレープを想像して頼みました。
ところが出てきたのはパンケーキでした。カナダのフランス語圏では「クレープ=パンケーキ」です。
さすが本場、メープルシロップの瓶をドン、と置いてくれるのがうれしくて。もうこれ以上は吸い込まないのじゃないかと思うほどかけました。カリカリベーコンにもシロップがかかります。これがまた甘じょっぱくてたまりません。
世界のパンケーキ:デリー発パリ行エールフランス
デリー発パリ行のエールフランス航空でもパンケーキをいただきました。シナモンの効いたリンゴ入りパンケーキに洋ナシのコンポート添えでした。
飲み物にマサラティーとショコラ・ショー(ココア)があるのが「デリー発パリ便」ですね。フランス産の発酵バター(Isigny)がついていました。インドはもちろん、日本でもなかなか手に入らないのでうれしくて、たっぷりつけてパンケーキを食べました。
ホノルル・メグズドライブインの「不滅ホットケーキ」
ハワイでは「これぞホットケーキ」に出会いました。工場や倉庫が並ぶカリヒ地区にあるドライブイン「メグズ」です。残念ながら2021年に閉店しました。
メニューにもちゃんと「Hot Cake」とあります。左上「Breakfast」の欄の上から2番目です。分かりますでしょうか。
年季の入ったコカ・コーラの看板、天井で健気に回る年代物のファンがいい味を出しています。日本からやってきたメグムさんが50年ほど前、開いたそうです。
チキンカツ、ベントー、マヒマヒプレートにロコモコ丼…ハワイにしっかり根を下ろした日本、懐かしい雰囲気です。
名物のビーフシチューはとろとろでたまらないお味でした。
地元のみなさんに親しまれていることが伝わってきます。
メグズのホットケーキはふんわりあっさりしています。50年前から変わらぬレシピだそうです。キッチンで配合を教えてもらいました。「卵10個に、水16カップ、小麦粉3パウンド…」。
カップはアメリカサイズ(240ml)ではなく、日本の「1合(180ml)」でした。アメリカ式と日本式(それも昔の)が入り混じります。ハワイを感じました。
メグズに連れて行ってくれたハワイ在住のShinoguさんによると、メグズは「コロナ渦でも元気で営業している」とのことです。「観光客がいないだけに、地元の人たちが支えたんでしょうね」。長く愛されている店は強いですね。
「ホットケーキは不滅です!」とShinoguさんは力強いです。
ホットケーキ?は不滅です❣️@MegsDriveIn のホットケーキのお話も出てきました❤️このパンデミックでも生き残ったメグズ・ドライブインです! https://t.co/BAFFfEG0ys
— Hawaii?で体操?♀️の先生 (@KukuiSugar) January 7, 2021
不滅ホットケーキ、ぜひ作ってみてくださいね。
ハワイのメグズドライブインで習ったホットケーキのレシピ
材料
- 薄力粉 - 大さじ11 / 100 g
- ベーキングパウダー - 小さじ1 / 4 g
- グラニュー糖 (てんさい糖) - 大さじ2 / 20 g
- 卵 - Mサイズ1個 / 55 g
- 水(または牛乳) - 大さじ5.3 / 80 ml
- サラダ油(またはバター) - 大さじ1.7 / 20 g
トッピング
- メープルシロップ - 大さじ2 / 40 g
- バター(食塩不使用) - 大さじ1.7 / 20 g
作り方
- 材料をそろえます。バターを使うなら湯せんか600wの電子レンジに10~20秒かけて溶かしておきます。20 g サラダ油(またはバター)
- 薄力粉、ベーキングパウダーは一緒にふるってボウルに入れます。100 g 薄力粉, 4 g ベーキングパウダー
- グラニュー糖を加えて泡立て器で混ぜます。20 g グラニュー糖 (てんさい糖)
- 別のボウルかお椀に卵に割り入れます。55 g 卵
- 水(または牛乳)を注ぎます。80 ml 水(または牛乳)
- 卵と水(または牛乳)をフォークで混ぜます。
- 溶かしバターかサラダ油を加えてよく混ぜます。20 g サラダ油(またはバター)
- 卵液を粉のボウルに加えます。
- 泡立て器で混ぜ合わせます。
- 粉けがなくなればOKです。もったりとした生地です。
- バター少々(分量外)をフッ素樹脂加工のフライパンに溶かします。ないほうが焼き色がきれいに焼けます。
- 生地の4分の1をフライパンに流します。お玉で20~30㎝の高さから落とします。ふたをして弱めの中火で3分ほど焼きます。
- 表面が乾くぐらいです。
- ひっくり返して反対側も焼きます。ふたなし、弱めの中火で2分です。
- お好みでメープルシロップやバターをのせてどうぞ。カリカリベーコンを添えるのもよいですね。40 g メープルシロップ, 20 g バター(食塩不使用)
Video
Notes
- 1枚ずつ焼く場合、3枚目からは焼き時間が短くなります。表2分、裏2分ぐらいです。
- 甘さ控えめなので、ディップを添えてお食事にもなります。
- 水だとあっさり、牛乳で作るとほんのり甘く、ヨーグルトだとふんわりします。
- 裏ごしカッテージチーズでも作れます。もっちりとします。