タタン風ケーキのレシピ | スーパーの食材でフランス菓子

タタン
リンゴのカラメル煮をのせたパウンドケーキです。メレンゲでふくらませるのでほわっとした食感です。
ケークタタン

フランス菓子タルトタタンのように、リンゴのカラメル煮を敷き詰めたケーキのレシピを紹介します。くちどけのよいパウンドケーキで、タルトほど難しくありません。ぜひ作ってみてくださいね。

目次

お菓子づくりに向くりんごは:紅玉・姫りんご

リンゴのおいしい季節ですね。近くの八百屋さんで姫リンゴの「アルプス乙女」が売られていました。

9歳児が欲しがったので1箱、求めました。すぐ皮ごとかじり出したのはいいのですが案の定、1個しか食べず、あとは見向きもせず…。姫リンゴ

かための食感ですし味も濃く、紅玉と同じようにお菓子づくりに向くはず…と、タタン風パウンドケーキにすることにしました。「タタン風ケーク」として拙著「パリの晴れごはん」にも登場します。

7年住んだインドで開いていたお菓子教室でも作っていただきました。青リンゴのグラニースミスはどこでも売っていました。グラニースミスも固めで煮崩れが少なく、焼き菓子に向きますね。

タタン風ケーキ

Photo by Chikako TADA

「タルト・タタン」とは:タタン姉妹の失敗りんごタルト

せっかくのかわいい姿をいかそうと姫リンゴは半分に切っただけにしました。

食べるにはタネと芯がちょっとじゃまですが、サンマの骨と同じ(?)ように秋をめでつつ除きながらいただくのもアリ、ということで。

「タルト・タタン」はパリから南へ170キロほど、フランス・ソーローニュ地方にある「オテル・タタン」が発祥の地です。

タタン姉妹がリンゴを焼き始めてからタルト生地を敷き忘れたのに気づき、あわてて上からタルト生地をかぶせたところ、おいしかったことから「タルト・タタン」が生まれた…との逸話があります。

タルト・タタンのふるさとを10年ほど前に訪ねました。オテル・タタンはいかにも田舎の宿でした。観光客もそれなりにやってくるのでしょうが…。

日本ならば格好のまちおこしネタですが、フランスではそっけないぐらいでした。

46ユーロ(5000円)のコースのデザートとしてお待ちかねのタルト・タタンが登場しました。日本ではゆうに2人前はありそうなサイズでした。直径30センチはありそうです。ほんわかあったか、やわらかくてやさしいママの味でした。

タルトタタン

パウンドケーキとは:バター、砂糖、粉、卵が同量

パウンドケーキ(Pound cake)はバター、砂糖、小麦粉、卵が1ポンド(450g)ずつ入ることから名づけられました。

フランスではカトル・カール(Quatre-quarts)と呼ばれます。「4分の1」という意味で、先に挙げた4つの材料が1:1:1:1、4分の1ずつ入るからです。

この黄金比にまさる配合はないなと思います。卵を軸に量を出すと作りやすいです。Mサイズの卵1個が55gぐらいですので、卵2個で作るとすると残りの材料は100~110gずつになります。

しっとりパウンドにはハチミツを

パウンドケーキ

材料でのアレンジは下記になります。

ベーキングパウダーを入れる→卵の泡立てがラクになるがまた別の食感

砂糖の1割をはちみつやトレモリンに→しっとりさせる効果

バターの1部を生クリームやサワークリーム、牛乳に→かるさを出す

小麦粉の一部をアーモンドパウダーに→風味づけ

ふわっとしたパウンドを焼くなら「別立てジェノワーズ」製法

作り方で食感がだいぶん変わります。

1
やわらかいバターに全卵、粉を混ぜる(バッター共立て)…卵とバターが分離しやすい。ふんわりしづらいのでベーキングパウダーを入れる。詰まった食感。

2やわらかいバターに卵黄を混ぜ、卵白はメレンゲにして粉を混ぜる(バッター別立て)→バランスのよい食感になる

3全卵を泡立てて粉を混ぜ、溶かしバターを加える(ジェノワーズ共立て)→ふんわりするがパウンドケーキらしくない。ちょっと軽すぎ。

4卵黄と卵白を分けて泡立て、粉を混ぜてから溶かしバターを加える(ジェノワーズ別立て)→卵の味わいがある。ほわっとした食感。作りやすい。

私は4が作りやすく、食感も好みになるので気に入っています。

2の味わいも好きですが、バターを泡立てるより卵黄を泡立てるほうが簡単です。

お菓子教室をしていたころ「バターの泡立てが苦手」という方が結構、多かったこともあります。たとえハンドミキサーがあったとしても、羽根の中に入り込んだバターを取るのが手間がかかりますから。失敗がなくて食べ心地、作り心地もよい作り方、ぜひ試してみてくださいね。

タタン風パウンドケーキのレシピ

ケークタタン

タタン風ケーク

リンゴのカラメル煮をのせたパウンドケーキです。メレンゲでふくらませるのでほわっとした食感です。
焼き菓子
洋菓子とデザート
秋の実り
冬いいね
贈り物に
原材料:
ピーナッツフリー
制作: Chikako TADA

道具

分量 : 1 台 | 直径18㎝
材料   

パウンドケーキ

作り方

  • 材料をそろえましょう。型に必要ならオーブンシートを敷きます。オーブンは200℃に温めます。パウンド用のバター100gは冷蔵庫から出しておきます。リンゴ500g~800gは姫りんごなら半分に切ります。ふつうのリンゴなら皮と芯を除いて6つに切ります。香りづけのために皮もとっておきます。
    材料をそろえる
  • フライパンにグラニュー糖50gとバター20gを入れて中火にかけます。
    砂糖とバター
  • 端から3分の1ほど焦げたらりんご(と皮)を入れます。
    りんごを入れる
  • 10~15分ほど煮ます。途中でひっくり返します。りんごがやわらかくなればOKです。皮はここで捨てます(食べてもおいしいです)。
    煮る
  • 煮詰まったら型に並べます。姫りんごなら切り口を底にします。ぎゅうぎゅう詰めにします。ソースも入れましょう。
    型に並べる
  • 2個は黄身と白身に分けます。白身は冷やしておきます。卵黄にすぐグラニュー糖70gを混ぜます。
    卵黄
  • 白っぽくもったりとするまでしっかり泡立てます。バター100gは予熱中のオーブンに入れて溶かします。
    白っぽくなる
  • 白身は泡立て器でゆるいツノが立つまで泡立てます。グラニュー糖30gの半量をまず加え、またしっかり泡立てます。
    卵白
  • 残りの砂糖を加えて泡立てます。
    2回目
  • ボウルを傾けても落ちないぐらいのメレンゲにします。
    落ちない
  • メレンゲひとすくいを卵黄のボウルに入れます。しっかり混ぜます。先にメレンゲを少し混ぜておくことで早くなじみます。
    卵黄に混ぜる
  • メレンゲのボウルに戻します。大きく混ぜます。
    メレンゲに混ぜる
  • 薄力粉100gをふるい入れます。
    粉をふるい入れる
  • ゴムベラで切るように混ぜます。
    混ぜる
  • 溶かしたバターに生地の4分の1ほどを混ぜます。しっかり混ぜてなじませます。
    バター
  • なめらかになったら生地のボウルに戻します。
    なめらかに
  • 泡をつぶさないようにていねいにゴムベラで混ぜます。白いところがなくなればOKです。
    混ぜる
  • 型に生地を入れます。ゴムベラで平らにならします。200°で温めたオーブンを170°に下げて50分ほど焼きます。竹串を刺して液体がつかなければOKです。
    注ぐ
  • 冷めたらひっくり返して型から出します。
    型からはずす

Video

Notes

  • りんごは水分の少ない紅玉、グラニースミスがおススメです。
  • りんごの皮は一緒に煮ると香りがアップします。
  • 卵・砂糖・バター・粉が同量ずつ入るケーキ界の黄金比ですが、この卵を分けて泡立てる作り方(別立て法)がおススメです。
  • バターと砂糖を練ってから全卵を加える作り方より失敗が少なく、ほわっとした食感になります。
さあ、作りましょう!#ペンとスプーンのハッシュタグをつけてご自身のFacebook, Instagram, Twitterに投稿してくださいね。
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この記事の著者

多田 千香子のアバター 多田 千香子 Pen&Co.代表取締役CEO

食メディア「Pen & Spoon」編集長。1970年、岡山県備前市生まれ。県立岡山朝日高校、岡山大学法学部卒。1993年、朝日新聞社入社。記者・編集者として12年余り勤務。2005-2007年、フランス・パリ在住。料理学校ル・コルドンブルー パリ校製菓上級課程修了。「パリのおやつ旅のおやつ」(朝日新聞出版)「パリの小さなキッチン」(レイチェル・クー著、翔泳社)など著書・翻訳書8冊を出版。辻調製パン技術講座(通信制)修了。2013-2020年、インド・グルガオン在住。インド三井物産などで勤務。コロナ禍で2020年に帰国後、食メディア「Pen & Spoon」を創刊。2023年6月、Pen&Co.(ペンアンド)株式会社を共同創業。週刊英和新聞Asahi Weekly(英文)、ソーシャル経済メディアNewsPicks +dでコラム連載。

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