クリスマスの定番ケーキ「ブッシュドノエル」のレシピを紹介します。ココア味のスポンジでチョコレートムースを巻き込みます。材料はすべてスーパーで買えます。型もいらず材料費は1,000円ほど、6~8人で楽しめます。ぜひ作ってみてくださいね。
ブッシュドノエルの意味は:「クリスマスの薪」
フランス語でBûche De Noël は「クリスマスの薪(まき)」との意味で、クリスマスケーキの定番です。英語ではYule Log(クリスマス前夜祭に燃やす大きな薪の意)と呼ばれています。
日本ではロールケーキにデコレーションをしたものが多いですが、パリはどうでしょうか。
私が料理学校ル・コルドンブルー・パリで習った「ブッシュドノエル」はロールケーキではなく、ムースをトヨ型(半円で樋のような形)でかため、クランブルを張り付けた生菓子でした。日本のより細長かったです。
有名パティスリーの2020年新作は女性誌ELLEのオンライン版に特集されています。
見るだけでうっとり、芸術の域です。もはや薪からかけ離れている店もあります。メゾンカイザー(MAISON KAYSER)だけが日本的なロールケーキっぽいですね。
あまりに技巧を凝らした品よりシンプルな姿にそそられます。老舗ラデュレ(Ladurée)のヴァニラとキャラメル味などおいしそうです。二つ星シェフのジャン‐フランソワ・ピエージュによるそうです。
スターバックスのブッシュドノエルとは
日本のスターバックスで販売されたブッシュドノエルは1人用のサイズです。
2019年まではキノコ型のチョコクリームがのっていました。ちょっと重たい感じだったのですが2020年、ホイップクリームがのっかって少しスリムな細巻きになり、かろやかにイメチェンしています。
公式ページにはこうあります。
しっとりとしたチョコスポンジでチョコクリームと食感のアクセントとなるブラックココアクランブルを巻き込み、表面をコーティングチョコで薪のように仕上げています。さらに、ホイップクリームと粉糖を薪に雪が積もったようにトッピングし、ホリデーカラーのクランベリーとピスタチオを飾りました。(公式ページ)
お店で実際に頼んだのがコチラです。480円(税抜)。ごっそりテークアウトする人がいました!最後の1つでした。
クランブルをクリームに巻き込んでいる!私としては驚きでした。
クランブルといえばカリカリした食感が命です。「外に張り付けるもの」「別添えするもの」というのが常識ではないでしょうか。
拙著「パリのチョコレート レシピ帖」でもココア味のクランブルをまぶしたブッシュドノエルを紹介しています。
クリームの中に包むなんて目からウロコでした。食べてみました。カリカリというかサクサクというか、確かにアクセントになります。
自分のレシピをもとに作ってみようと思いました。
スタバ風を手作りで!スーパーで買える材料で作る
なるべく手軽に作ってほしいのでコーティングチョコは省きました。食感的にも少しヘビーです。
チョコクリームはムース仕立てに。生クリームにチョコを溶かしただけのものより本格的になりますが、材料のチョコレートが問題です。
おいしいチョコレートケーキを作るコツはおいしいチョコを使うこと、できたらヴァローナやカレボーで…と言いたいところですが、わざわざ買いに行きたくありません。コロナ禍ですし。
スーパーで使えるチョコはないか探しました。
スーパーで買える板チョコ5種類、試食した結果
製菓材料としてはブラックの板チョコ一択です。最終形はミルク味としても、カカオ分が高いほうが味をコントロールしやすいです。
近所のスーパーと100円ショップで買ったのは下の5種です。輸入品は除きました。
メーカー | 商品名 | 重さ | 価格 | カカオ |
LOTTE | Ghana(ガーナ)ブラックチョコレート | 50g | 98円 | 50% |
明治 | ブラックチョコレート | 50g | 98円 | 不明 |
トップバリュ | 70%カカオブラックチョコレート | 40g | 98円 | 70% |
ニッコー | ビターチョコレート | 48g | 69円 | 不明 |
私の台所 | スイートチョコレート(製菓用) | 50g | 100円 | 不明 |
トップバリュはニッコー(パッケージのフォントがカワイイ)のOEM生産品と思われます。板チョコの柄がまったく同じだったので。
5種類を試食した結果、味に輪郭があって口どけのよい明治とロッテの板チョコに軍配が上がりました。どちらかをお勧めします。
材料費は:しめて1,000円、でも味は本格的
コストを度外視してぜいたくに作るのも手作りのだいご味ですが、今回はスーパーでそろえました。
クリスマス前になると出来合いのスポンジ台やホイップクリーム、サンタの飾りつけなどが出回ります。イチゴも買うと合計で1,000円は超えるわりに味は…です。最初から作ったほうが数段おいしいです。
ざっと材料費を計算しました。
板チョコ(80g)=150円、卵4個=80円、アーモンドパウダー(20g)100円(百均にもあります)、バター(50g)=80円、生クリーム(200g)=350円、ココア(15g)=50円、薄力粉(35g)=20円、砂糖(105g)=20円、クランベリー&ピスタチオが150円。
合計すると1,000円ぐらいです。これで6~8人分になります。
スーパーで買える材料でもおいしくて幸せです。ぜひ作ってみてくださいね。
スタバ風ブッシュドノエルのレシピ
材料
ジェノワーズ(スポンジ)
- 卵 - 2個
- 卵黄 - 1個
- グラニュー糖 (てんさい糖) - 60g
- 薄力粉 - 20g
- 純ココアパウダー - 10g
- バター(食塩不使用) - 30g
クランブル
- バター(食塩不使用) - 20g
- グラニュー糖 (てんさい糖) - 20g
- 薄力粉 - 15g
- 純ココアパウダー - 5g
- アーモンドパウダー(プードル) - 20g
チョコレートムース
- 卵黄 - 1個
- グラニュー糖 (てんさい糖) - 20g
- 牛乳 - 50g
- チョコレート - 80g
- 生クリーム - 130ml
デコレーション
- 生クリーム - 70ml
- グラニュー糖 (てんさい糖) - 5g
- ドライクランベリー - 大さじ2
- ピスタチオ - 大さじ2
- 粉砂糖(あれば) - 小さじ½
作り方
- 材料をそろえましょう。卵とクランブル用のバター30gは室温に戻しておきます。ジェノワーズ用のバター20gは電子レンジ(600w20秒)か湯せんで溶かします。生クリーム200gは冷蔵庫で冷やしておきます。クランベリー、ピスタチオ各大さじ2は刻んでおきます。
ジェノワーズをつくる
- 卵2個と卵黄1個をボウルに入れて混ぜます。ハンドミキサーなら低速でスタートして徐々に高速にします。
- 混ざったらグラニュー糖60gを加えます。しっかり泡立てます。ハンドミキサーなら2~3分です。
- 黄色っぽいとまだです。
- 白っぽくもったりすればOKです。
- ココア5gと薄力粉20gを一緒にふるい入れます。
- ゴムべらでしっかり切り混ぜます。
- 粉けがなくなればOKです。
- 溶かしバターを2回に分けて加えます。
- やさしく切るように混ぜます。オーブンを190℃に温め始めます。
- オーブンシートを敷いた天板に広げます。
- 21㎝×27㎝ぐらいが目安です。天板が大きい場合はオーブンシートを立てて仕切ります。
- 10㎝ぐらいの高さから天板を落として気泡を落ち着かせます。180℃のオーブンで13分ほど焼きます。
- 焼けたら天板から出します。
- オーブンシートの側面をはがします。
- ひっくり返してオーブンシートをそっとはがします。オーブンシートをかぶせて冷まします。
クランブルをつくる
- 材料すべて(バター、グラニュー糖、アーモンドパウダー各20g、薄力粉15g、ココア5g)をボウルに入れます。オーブンを200℃に温め始めます。
- 指をこするように混ぜます。
- オーブンシートを敷いた天板にギュッとつまんでのせます。2㎝大で15~20個ぐらい作ります。
- 180℃のオーブンで13分ほど焼きます。そのまま冷まします。
チョコレートムースをつくる
- 卵黄1個をつぶします。
- グラニュー糖20gを加えたらすぐすり混ぜます。(固まるので)
- 白っぽく、とろりとすればOKです。
- 人肌に温めた牛乳50gを加えて混ぜます。
- フライパンに2㎝ほど水を張って沸騰させたところにボウルを浮かべます。
- たえず底をかき混ぜます。少しとろみがつけばOKです。温度計があれば80~85℃。湯せんから外します。
- ゴムべらについた卵液を指でなぞると、跡が残るぐらいが目安です。
- チョコレート80gを割り入れます。
- よく混ぜて溶かします。
- つややかに混ざればOKです。
- 生クリームを泡立てます。氷水を用意します。
- 生クリーム200gをボウルに入れて氷水に当てながら泡立てます。
- とろとろぐらい(6~7分立て)になればOKです。
- 130gをとりわけます。
- チョコレート液に混ぜます。
- ざっと混ざればOKです。冷蔵庫で30分以上、冷やしておきます。
デコレーション
- 残りの生クリーム(70g)にグラニュー糖5gを加えます。大きく混ぜて7分~8分立てにします。
- 絞り袋に詰めます。オマケについている袋で十分です。口を閉じて使うまで冷蔵庫へ。
- ジェノワーズにムースを広げます。巻き終わりの2㎝は塗らないでおきます。
- クランブルを手前2㎝ほどあけて並べます。
- オーブンシートごと持ち上げます。
- やさしく少しだけ指で寝かせます。
- 向こう側を持ち上げて手前に迎えます。
- 少し浮かせてかたちを整えます。
- そのまま手前に転がします。巻き終わりを下にしてオーブンシートを外します。
- 半分に切ります。そのままでも、もっと切ってもOKです。
- 生クリームをS字を書くように絞り出します。
- 口金はつけていません。
- 刻んだクランベリーをちらします。
- 刻んだピスタチオものせます。
- あれば茶こしに入れた粉糖小さじ½をふります。
Video
Notes
- 生クリームの泡立て方はコチラに詳しく説明しています。
- ジェノワーズは焼き色のついた面でも紙がついていた面でもどちらが外になってもかまいません。きれいと思うほうでOKです。