福岡・久留米の農家で習った「かぶの千枚漬け(甘酢漬け)」レシピです。大根とは違うやさしい食感です。3日後から10日後までが食べごろで、日持ちは2週間です。かぶの葉と皮も捨てないで「菜めしのもと」を作ります。かぶを「引く」体験もさせていただきました。
福岡・久留米の畑でかぶを「引く」
福岡・久留米の龍頭さん宅を訪ねました。筑後川の河川敷で20年以上、農業を営んでいます。夏はピーマン、冬はかぶを育てているのだとか。
「ここらへん、引きましょうか」。金二さんが言いました。「抜く」とは言わないのだな。
確かに「抜く」というより「引いて」いました。濃い緑の葉っぱをかき分けると、ふかふかした土に座っているように植わっています。9歳児でもどんどん取っていきます。
インドの畑で抜いた大根はどっこいしょ感が満載だった記憶です。ロシア民話「おおきな かぶ」でも大勢で寄ってたかって引っこ抜いていました。大きさの違いか。ちょっと拍子抜けしました。
「蕪引(かぶらひき)」は冬の季語でした。かぶらは主に関西でのかぶの呼び名です。ちなみに「大根引く」も冬の季語です。子規の句を実感しました。
大根引くあとや蕪引く拍子ぬけ 正岡子規
収穫数が分かるよう10株ずつ積み上げます。とがった先っちょがカワイイです。お店に並んでいるのは切り落とされていますね。
サラダかぶ「もものすけ」もつくっているそうです。京子さんが「引きたて」をみせてくれました。こちらも絵に描いたような色と姿です。やわらかくて生でもいただけるそうです。生産者が増えているとか。やはり先っちょに萌えます。捨てるのは惜しい!
収穫したら「かぶ洗い機」に2回、通して土を落とします。横倒しにするとグルグル転がっていきます。なすがまま~。
井戸水をたたえた水槽にポトンと落ちます。白くてほおずりしたいほど!きれいになりますね。
甘酢漬け:福岡ネイティブは「コショウ=唐辛子」
台所にお邪魔しました。お料理を教わるのは久しぶりだな。ワクワクします。
龍頭さん宅では規格外で売り物にならない、大きなかぶで甘酢漬けを作るそうです。伺った際には2種類ありました。酢が控えめバージョンは金二さん用、レシピどおりは京子さん好みだとか。いずれにしても「酢は減らしても砂糖はレシピを守る」そうです。
砂糖どさーっ。かぶ2キロに対して300gです。ユズ大根で見慣れてしまいましたが当初はビックリしました。恐れをなして砂糖を減らそうとしたこともありましたが、やはり味が決まりません。皮は厚めにむくのもおいしさのポイントだそうです。
「コショウはあとから入れてください」。金二さんが袋に入れて私たちに持たせてくれようとしていました。「ありがとうございます」と言いつつハテナです。え、コショウを、甘酢漬けに?あ、やはりアレだ。
九州北部では「コショウ=唐辛子」でした。柚子と唐辛子でつくる調味料だって「柚子胡椒」といいますが…。ネイティブ福岡人から聞いたのは初めてかも。さすが。
京都にいたころ「先の戦争(=応仁の乱)で焼けて店を移転した」とリアルで聞いて(和菓子屋さんの10代目当主でした)感動したのに続くぐらいのうれしさです。
作り方のメモにもちゃんと「こしょう」とありました。9歳児が食べられないので「こしょう」なしですが、入れると傷みにくくなります。
レシピは分量が変えられます。皮と葉っぱを切り落とした後、重さをはかって調整してくださいね。
道具
- 包丁
- ポリ袋
作り方
- 材料を用意します。ユズが手に入らなかったのでカボスにしました。かぶは中サイズ、葉っぱ込みで540gありました。
- かぶは根元から切って皮を厚めに向きます。ここで重さをはかります。400gありました。
- 葉っぱと皮は捨てないで細かく刻みます。150gになりました。
- かぶ400gは2~3㎜幅にスライスします。
- 半分に切ります。そのままでもかまいません。
- ポリ袋に入れます。砂糖60gを加えます。
- 酢60gも注ぎます。
- 塩10gを加えます。
- 削ったゆず皮1個分を入れます。
- だし昆布5㎝角1枚はハサミで刻んで入れます。
- 冷蔵庫か冷暗所において一晩、寝かせます。
- 翌日からいただけます。食べごろは3日後~10日後までぐらいです。
- 菜めしのもとを作ります。熱したフライパンにサラダ油を流すかバター小さじ1を溶かします。
- 刻んだ葉と皮150gを入れて炒めます。
- かつおぶし2gも入れます。写真は「だしがら」のかつおぶしです。
- しょうゆ大さじ1を加えます。
- 水分が飛べばOKです。ごはんにのせてどうぞ。
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Notes
- 砂糖は減らさないでくださいね。
- 酸っぱいのが苦手な方は酢を少し減らしてもOKです。
- 3日以降が味がなじんでおいしくなります。10日後ぐらいまでが食べごろですが、冷蔵庫か冷暗所で2週間は持ちます。
- 赤かぶを少し混ぜるとほんのりピンク色です。