ここでいうコーヒーケーキは「コーヒーのおともにいただく」ケーキで、コーヒー味ではありません(日本語でも「お茶菓子」といえば普通、<お茶入りのお菓子>ではありませんよね)。ぐるぐる混ぜるだけなのにサワークリームのおかげでしっとりします。クランブル多めが「NY風」なのだとか。さつまいも入りにしたのは私のアレンジで、NY在住の友人へのオマージュです。
Sweet potatoと日本の「さつまいも」の違い
レシピはニューヨークにいる新聞社の同期が「いもきんつば」にトライしたのがきっかけで生まれました。
「さつまいも」をふかしてつぶし、寒天液を混ぜてかためて衣を焼く…という流れです。
ところが普通に売っているSweet Potatoを買って試したら「水分が多くてべちゃべちゃ」で、かたまらなかったのだとか。Facebookで状況を知った私、「えー」と叫びました。寒天だったら酸が強い果物以外、何でも固まるはずなのに。まさかSweet potatoが酸っぱい…わけないですし。
原因は水っぽいSweet Potato、かもしれません。確かにふかすとベチョベチョになった経験が私もあります。それにしても…。
同期は日本のさつまいもに近いJapanese Yamを取り寄せて再トライしてくれました。「蒸すところまではバッチリでした。よしよし、と粉寒天を水に溶かして混ぜ、冷蔵庫で冷やしてみたのですが、固まらない…」。
ええー。また叫びました。原因究明よりとりあえず対処療法、せっかくのJapanese Yamをムダにするまじ。思いつきで「卵黄とバターと砂糖を入れてオーブンで焼いてみたら」と伝えました。卵を入れて固める戦法です。
すると「きんつばとは違う、何かおいしいものに仕上がりました!」。写真をみると確かに「スイートポテトグラタン」的なサムシングです。ホッとしました。
よかったよかった…といいつつ「太平洋西海岸をめざしていたら(アフリカの)喜望峰に着いちゃったみたいな」という共通の友人の評が笑えました。
レシピ作者としては「きんつば、難しいレシピじゃないのに」「かたまらないのはなぜ」とウーン…腕組みが止まりません。
結論からいうとイモのせいではありませんでした。同期は寒天ではなく「アガー」を使っていたのでした。寒天とアガーでは使う量が違うので。
サワークリームとは:発酵させた生クリーム
サワークリームは発酵させた生クリームで酸味があります。ヨーグルトよりはコクがあります。日本のスーパーではチーズなど乳製品がある棚に並んでいますね。
パッケージの裏には「カレーやシチュー、ボルシチ、ステーキなどに入れて」とあります。カレー、シチューからの3番目が素敵すぎますが、どんなスーパーでもたいていありますね。
お菓子づくり的にいえばチーズケーキに欠かせません。クリームチーズだけだと酸味が足らず、チーズケーキっぽくなりません。サワークリームが黒衣のようにチーズケーキらしさを生むもとになっています。
バターケーキ(パウンドケーキ、フランス語ならカトル・カール)にも入れることがあります。バターの1~2割ほどをサワークリームに置き換えると、しっとりしてコクが加わる効果があります。
コーヒーケーキとは:クランブルたっぷりのケーキ
基本のコーヒーケーキはクランブル(シュトロイゼル)がたっぷりのっていて、たいていシナモンフィリングが挟まっています。サワークリームが油脂のメーンです。あたためて(あたたかいうちに)いただくのもおいしいです。
米スターバックスでも売られていたことがあり、レシピも公開されています。スタバのレシピはサワークリームではなくギリシャヨーグルトですね。
NY風コーヒーケーキはNew York Style Crumb cakeとも呼ばれているようです。クランブルがコーヒーケーキより大きい…というのが「NY」たるゆえんのようです。
私が紹介する「NY風コーヒーケーキ」はクランブルがゴロゴロと大きめ、という本来の意味と、NY在住の友による愛すべき失敗(じゃないですね、おいしかったのだから。ただ喜望峰に着いただけ)に由来する、という2つの意味を込めています。冬休みにぜひ作ってみてくださいね。
さつまいもコーヒーケーキのレシピ
材料
クランブル
- バター(食塩不使用) - 50g
- グラニュー糖 (てんさい糖) - 50g
- アーモンドパウダー(プードル) - 50g
- 薄力粉 - 50g
ケーキ
- 卵 - M1個
- グラニュー糖 (てんさい糖) - 70g
- サワークリーム - 90g
- 薄力粉 - 100g
- ベーキングパウダー - 小さじ1
- バター(食塩不使用) - 50g、サラダ油50gでもOK
- さつまいも - 150g(正味、中1本)
アイシング(なくてもOK)
- 粉砂糖 - 50g
- 水 - 小さじ2
作り方
- 材料をそろえます。クランブル用のバター50gは室温に置いておきます。ケーキ用のバター50gは電子レンジ(600w40~50秒)か湯せんで溶かしておきます。
- さつまいも150gはやわらかくなるまで蒸すかオーブンで30分ほど焼き、つぶしてペースト状にします。150gを使用します。
クランブルを作る
- ボウルに薄力粉50g、アーモンドパウダー50g、バター50g、グラニュー糖50gをすべて入れます。手で混ぜます。
- 指先をこするようにしてすり混ぜます。
- 全体にバターが行きわたってなじむまで切り混ぜます。ファスナー付き袋に平らにして入れて冷凍庫へ。使うまで休ませます。
ケーキを作る
- 卵1個にグラニュー糖70gを混ぜて泡立て器で泡立てます。
- 白っぽく、もったりすればOKです。
- サワークリーム90gを加えます。
- よく混ぜます。
- サラダ油か溶かしバター50gを加えて混ぜます。
- ムラなく混ざればOKです。
- ペースト状にしたさつまいもを混ぜます。
- 薄力粉100gとベーキングパウダー小さじ1を一緒にふるい入れます。
- ゴムベラで粉けがなくなるまで切り混ぜます。
- 白いところがなくなればOKです。
Video
Notes
- クランブルは多めに作って冷凍しておいても。リンゴと一緒に焼いたりヨーグルトに混ぜたりして楽しめます。
- ケーキ部分をバターで作ると風味が増し、サラダ油で作ると軽くなります。お好みでどうぞ。
- シナモンやジンジャーを入れてもいいですね。