クロッカン(croquant)はフランス語で「カリカリした」という意味です。その名の通りクリスピーなお菓子やパンの名前によく使われます。卵白とナッツを混ぜて焼くレシピなら、チョコレートムースや抹茶ムース、ブッシュドノエルで余った卵白が使えますよ。
クロッカンとは:南フランス名物
クロッカンを最初に教わったのは16年前、留学していたパリの料理学校ル・コルドン・ブルーでした。オレンジ風味のクロッカン・オ・ザマンド(アーモンド)です。砂糖とオレンジジュース、粉、溶かしバター、アーモンドスライスを片っ端から混ぜて焼くだけです。
焼きたてのオレンジの香り、基礎コース最後の授業にふさわしいかぐわしさでした。
私の2冊目「おやつ新報へ、ようこそ。」(2009年)にも「チュイル」のひとつとして紹介しています。
クロッカンは9年前、パリ15区に住む3兄弟の母・エレーヌからも習いました。彼女は南仏出身で「クロッカン・ミディ」を作ってくれました。「ミディ」は南フランスを意味します。レシピは全卵で、アーモンドパウダーが入ります。薄くはなくカリカリというかガリガリ、ちょっとビスコッティに似ていました。料理学校で習ったのより素朴です。
クラフティや玉ねぎのタルトも教わりました。真ん中にあるのが「クロッカン・ミディ」です。
クルミみそクロッカンにした理由
自家製みそを滋賀・丘峰喫茶店のおかみからいただきました。インドから届いたスパイスをおすそ分けしたので、そのお返しですね。私はいただきものの横流し(!)なのに申し訳ないやらうれしいやら、でした。
彼女はひとり出版社「能美舎」として良本を出し、自ら取材するかたわら漬け物もみそも鮒ずしも作っちゃうという…。尊敬しかない古巣の大後輩です。
古巣の先輩で、@PenSpoon1 編集長の多田さんから、スパイスセットが届いタァああ!うれしい!レターパック開けた途端にすごい香り!よしっ!カレー作るぞー!どのレシピにしようか悩む。コーラもつくってみたい。スパイスジンジャーは決定。https://t.co/ZXivYNip3R pic.twitter.com/Zr4YfvgBqp
— 能美舎(丘峰喫茶店) (@noubisya) January 21, 2021
みそづくりを始めたのは2013年、名人を取材したのがきっかけです。いまではひとりで「麹をかもす」ところから手がけ、生産量は20キロとか。使いみちは喫茶店でみそカツにしたり、これまた芋から手製こんにゃくでみそ田楽にしたり、知人に配ったりですぐなくなるそうです。
「そろそろ、ふきのとうみそ」「もう少ししたら、山椒みそ」。うわー。そうでした。すっかり7年のインド暮らしで忘れていました。
折々とともに暮らしがあるって本当に味がありますね。「かもす」という言葉も舌の上で転がしてゆっくり味わいたい日本語です。「物議」じゃなくて麹や酒に使われてこそ、だな。
地に足のついた暮らしが遠くなり(…ってそんなものしたことがあるのか、ですが)あこがれます。
せっかくいただいた2年みそ、お菓子に使えないかな…と思ってクルミのクロッカンに入れてみました。「クルミみそ」もありますから相性はいいはずだ、と。ズバリでした。
甘じょっぱくてカリカリで、夢中になるおいしさです。9歳児もとりこになり「あのカリカリないの」とリクエストします。ぜひ作ってみてくださいね。
クルミみそクロッカンのレシピ
材料
- 卵白 - 40g(1個分)
- グラニュー糖 (てんさい糖) - 80g
- 薄力粉 - 20g
- バター(食塩不使用) - 60g
- みそ - 10g
- くるみ - 100g
作り方
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Notes
- ナッツなら何でもOKです。アーモンドやカシューナッツでも。
- すぐ焦げるので気をつけてくださいね。
- みそをインスタントコーヒー小さじ2(4g)、くるみを同量のココナッツロングにしてもおいしいです。ココナッツロングも焦げやすいので注意してください。